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AIを適正に利活用する企業へ ~ 大成建設のAI戦略と責任ある挑戦 ~

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AIを適正に利活用する企業へ ~ 大成建設のAI戦略と責任ある挑戦 ~

SUMMARY

DX戦略のコア技術「AI」

AI技術が急速な進化を続け、社会やビジネスの在り方を大きく変革しつつあります。
大成建設は、2024年5月に策定した【TAISEI VISION 2030】達成計画において、「AI」をDX戦略におけるコア技術の1つとして明確に位置付けました。

現在、「AIガバナンスの確立」、「GPT共通フレームワーク」、「建設ライフサイクル全体におけるAI適用」という3つのテーマを軸にAI利活用の基盤整備を推進しています。

本記事では、当社がAIを安全かつ適正に利活用し、価値創造へとつなげるためにどのような取り組みを進めているかを紹介します。


STORY 01

AIガバナンスの確立

AI利活用を全社に展開していくためには、推進体制と明確な方針・ルールの整備が欠かせません。そこで大成建設では、2024年1月に新設した社長室DX戦略部を「AI CoE(Center of Excellence)」と位置付け、全社横断でAI利活用を推進する体制を整備しました。「AI CoE」は、全社AI戦略の策定やAIデータ基盤の構築、多様な事業部門におけるAI施策の審査・助言、PoC支援、AIアプリ開発支援などを担っています。

推進体制を整備した後に取り組んだことは、AIガバナンスの確立です。
AIの倫理的・社会的課題に真摯に向き合い、適正な利活用を通じて社会・顧客・パートナーの課題解決に貢献する姿勢を明確にするため、 2024年12月に「AIの適正な利活用に向けた宣言(AI基本方針)」を策定し、公表しました。

さらに、AI基本方針を踏まえ、 AIの利活用方針等をまとめた「AI戦略書」、AIを利活用する際の留意点を示した「AI利活用に向けたガイドライン」を整備し、全社員へ展開しています。

また、全社デジタル教育機関「DXアカデミー」で、AI基本方針等に沿った必修講座「AIリテラシーコース」を制作するなど、社員一人ひとりが安全かつ適正にAIを使いこなすための教育にも力を入れています。


【AIの適正な利活用に向けた体制】


STORY 02

AIを安全かつ適正に利活用できる環境

「GPT共通フレームワーク」

大成建設では、社員が安全かつ適正にAIを利活用できる環境づくりを推進しています。

まず、2023年6月にMicrosoft Azureのセキュアな基盤をベースに企業内生成AIを開発しました。全社員が機密情報の漏洩等を気にせず、安全に生成AIサービスを利活用できることに加え、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)やマルチモーダル入力などの機能を順次拡張したことにより、現在、約5,500人が日常業務で利用する、欠かせない業務ツールとなっています。

一方、AIを最大限に活用するためには、質の高いデータの整備が不可欠です。
そこで、長年培ってきた技術や知見といった「経営資源」を体系的にデータとして残し、次世代への継承やAIによる利活用を進めることを目的に、「紙文化からの脱却」を掲げた全社的な取り組みを2025年4月より開始しました。この取り組みの一環として、非構造化データをAI-Readyなデータとして蓄積するAI基盤を統合プラットフォーム「Taisei-DaaS」上に開発しています(2025年度中に完成予定)。

今後、このAI基盤と企業内生成AIを、安全かつ適正にAI技術を活用できる環境「GPT共通フレームワーク」として機能させ、AI利活用を一層加速させていきます。


STORY 03

建設ライフサイクル全体におけるAI適用

AI利活用を個人の業務効率化にとどめず、企画・提案、設計、施工計画、施工、O&M、リニューアルといった建設ライフサイクル全体の業務プロセスにAIを適用していくことで、「生産システムの変革」を目指しています。

これまで、建築施工に関する専門的な質問に対して正確な回答を迅速に提供できる「建築施工技術探索システム」、 360度カメラと画像認識AIを用いて建設現場の施工状況等を図面化できる「工事進捗確認システム」、 AIが最適な情報をデータベースから抽出することで、設計担当者の業務を支援する「AI設計部長」、土木工事における施工計画書のドラフトを自動生成する「全体施工計画書作成支援システム」など、多くのAIツールを開発し、実務で活用しています。

さらに、企画・PoC(検証・試行)段階のAIプロジェクトも約50件(2025年11月時点)進行しており、今後、建設ライフサイクル全体でのAI適用が加速する見込みです。

また、2025年7月には、AI施策をより強力に推進するため、R&D部門である技術センターと連携し、AI技術者を集めた専門チーム「AI Lab.」を社長室DX戦略部内に発足しました。進行中のプロジェクトの支援に加え、AIに関する相談に幅広く対応する「AIよろず相談会」を週2回開催するなど、AI施策推進を技術面から支援しています。


EPILOGUE

課題解決のためのAI

様々な課題の解決に向けて、AIを適正に利活用するための人財育成・文化醸成にも注力しています。

2025年4月から当社の人財育成部門である人財研修センターがOpenAI社と連携し、ChatGPT Enterprise を活用した人財育成に着手しました。この取り組みは、生成AIを使いこなすスキルの習得だけではなく、自らの業務課題に即した実践的な活用方法を学ぶことを目的としており、約1,200名の社員が参加しています(2025年11月時点)。

また、2025年6~7月には、業績向上や業務効率化、新規事業創出などに繋がるアイデアを募集する「AI利活用アイデアコンテスト」を開催し、大小様々な課題の解決に向けたアイデアが約300件集まりました。優秀なアイデアについては、実現に向けた検討を進めています。

大成建設はこれからもAIの倫理的・社会的課題等に真摯に向き合いながら、適正な利活用を通じて、社会・顧客・パートナーの課題解決に貢献していきます。


【AI基本方針】

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大成建設株式会社
社長室 DX戦略部

taiseidx@pub.taisei.co.jp