PROJECT
建設現場の未来を描く――大成建設の「進化型DXパッケージ施工」
関連タグ:
建築
生産プロセス
BIM/CIM
SUMMARY
現場から始める、建設DXの次なるステージ
当社は、「情報(デジタル技術とデータ)をスピーディーに活用することにより、当社グループの企業価値の向上を図る」という基本方針のもと、生産プロセス、経営基盤、サービス・ソリューションの3つの注力領域を定め、DXを推進しています。
注力領域の1つである生産プロセスのDXにおける取り組みの1つが「進化型DXパッケージ施工」です。
「進化型DXパッケージ施工」は、BIM(Building Information Modeling)と各種デジタル技術(リモート、AI、ロボット等)を活用して、建設現場の生産プロセスを工程カテゴリー・業種単位で再設計することで、生産システムの変革を目指すものです。その目指す姿は、国土交通省の「i‑Construction 2.0」が掲げる“施工のオートメーション化”、“データ連携のオートメーション化”、“施工管理のオートメーション化”とも連動しています。
STORY 01
データ連携の“協働DX”が、現場の未来を変えていく
建設現場の生産プロセスは、当社だけで完結するものではありません。
土工事、鉄筋、型枠、鉄骨工事など、数多くの専門工事業者やメーカーと連携し、複雑かつ繊細な作業を積み重ねて、ひとつの建築物を築いていきます。つまり、建設現場の生産プロセスを真に変革するためには、当社だけでなく、サプライチェーン全体でDXを進める必要があります。
そこで「進化型DXパッケージ施工」では、まずサプライチェーン全体で一貫したデータをもとに作業出来る環境を実現します。具体的には、専門工事業者やメーカーへヒアリングを行い、各社のニーズ(採用ソフトウェアに合わせたデータ)を把握した上で、設計及び施工BIMモデルをニーズに沿った形に“変換”して提供します。
そして、生産プロセスを7つの「工程カテゴリー」(下図参照)に分類し、工程カテゴリー毎に、一貫したデータをもとに作業できる環境とデジタル技術を活用して、施工プロセスを再設計し、施工の効率化を図ります。
現在は、各工程カテゴリー内の業種毎に施工効率化の取組を建設現場で試行している段階ですが、将来的には、各工程をデータでつなぎ、一連のシステムとして最適化していくことを目指しています。
以下で「進化型DXパッケージ施工」の具体的な取組事例を紹介します。
ICT建機と連携した土工事のスマート化
当社では、ICT建機とBIMデータを連携させた「土工事のスマート施工」に取り組んでいます。
その一例として、躯体図モデルをもとに根切りモデルを半自動で生成し、ICT建機用データへと変換するプロセスを導入しました。このモデル生成には、当社が独自開発したRevitプラグインツールを活用しており、床付面のレベル情報を正確に建機へ連携させることが可能です。
具体的な効果としては、以下の点が挙げられます。
・安全性の向上:相番者が重機に近づく頻度が減少し、安全な掘削作業が可能
・品質の向上:床付図のデータを正確に連携することで、墨出しや掘削震度のヒューマンエラーを削減し、施工品質が向上
・作業効率の改善: 床付図をモデルと合わせて半自動で作成することで、現場の手間を削減し、効率化を実現
当社は、こうした取り組みを通じて、ICT建機を活用した建設現場の最適化を進め、安全性、品質向上、省人化のすべてを同時に追求していきます。
EPILOGUE
進化型DXパッケージ施工──建設業界の未来を共に創る
「進化型DXパッケージ施工」は、建築現場の生産システムを変革する取組であり、建設業界の未来を根本から変革するうえで重要なステップと位置付けています。この取り組みは業界全体のDXを推進する鍵となるものであり、当社はその可能性に大きな期待を持っています。
「進化型DXパッケージ施工」は段階的に試行を進めている状況です。今後の進捗や成果については、随時公開する予定です。
また、2030年における理想的な建設現場を映像化した「この仕事でかっこいいを探していこう the Way We Work.」も社内外に向けて公開中です。ぜひご覧下さい。